米国当局、年間約8万匹の野生動物の毛皮が国際取引されていることを起訴
2017年7月13日、米国生物多様性センターは、国際的な毛皮取引のために罠で捕獲され、殺された数万の野生動物の輸出を許可した合衆国魚類野生生物局を提訴したことを発表しました。
米国生物多様性センターによると、ここ数年、ボブキャット、カワウソ、オオカミ、オオヤマネコ、ヒグマなど約8万匹の野生動物が毛皮の国際取引のために殺され、取引されたといいます。同センターで国際プログラムディレクターを務めるサラ・ウーレマンは
米国は毎年、毛皮のために捕獲され殺された驚くべき数の動物を輸出しています。
非常に収益性の高い国際的な毛皮貿易のために行われる罠による狩猟の残酷性は明白であり、ボブキャット、カワウソ、オオヤマネコ、その他の野生生物の生息数が減少しているのです
語っています。
美しい灰色がかった茶色のコートのために探し出された野生の猫、ボブキャットの毛皮の値段は、2000年には約85ドルであったのが2013年には約590ドルにまで高騰。
アメリカから輸出されたボブキャットの毛皮の数は2013年のピーク時には65,000枚にも及んだといいます。
これまでにも生物多様性センターはボブキャットの毛皮のための殺害に対し警鐘を鳴らしてきており、法律による規制を求めていますが、カリフォルニア州以外での法規制はまだ実現していないようです。
さらに、アメリカ全土から33,000匹以上のカワウソの毛皮、アラスカから3,000匹以上のオオヤマネコの毛皮とヒグマの毛皮、モンタナ州やアラスカ州から灰色オオカミの毛皮が輸出されており、これらの動物もアメリカにとっては希少な動物です。
もともとアメリカでは大規模な牛の放牧地の展開により野生動物の生息地が奪われていっており、これらの野生動物の住処の分断、減少が大きな懸念とされています。またこれらの種の動物を捕獲するための罠には多くのキツネやビーバーなどの他の種の動物もかかって死んでおり、その数は把握されていないといいます。
これら狩猟された数は持続可能な数を有意に超えており、また上位捕食動物を大量に駆逐すると生態系全体に波及効果が及ぶとして強く警鐘を鳴らしています。
近年、中国、ロシア、ヨーロッパの野生動物の毛皮の需要が増えているいいます。
この需要があるために野生動物が殺され、生態系が狂っていきます。
私達日本人も、これら野生動物の毛皮には必ずNOを突きつける姿勢を貫かなくてはなりません。
飼育の過程がなく養殖された毛皮よりも動物の苦痛は少ないかもしれませんが、別の問題が大きいのです。また、罠にかけられた動物は緩慢な死を遂げることが多く、そのもがき苦しむ姿を想像してほしいと思います。
野生であろうと養殖であろうと、動物の毛皮は動物のためであって人間が奪い取るものではないのです。
今回の生物多様性センターによる起訴が市場や国際市民の消費に対してインパクトを与えることを願います。
翻訳協力:堀江とら