繁殖:子供の生存率はたったの50%
檻には1~2匹ずつ動物が入れられますが、繁殖用の雌の檻だけは、レンガや木でできた小さな巣箱とつながっています。
これは、雌が出産時と子育て時に多少の占有スペースを確保できるようにすることにより、母親の共食いや子育て放棄による、こどもの死亡率を下げることが目的です。
繁殖は1月~4月の間に行われます。
大部分の養殖場では人工授精を導入しており、特に繁殖期の合致しないアオギツネと銀ギツネをかけ合わせるときなどに使われます。
キツネは生後10~11ヶ月で生殖が可能となり、繁殖用の固体は5~7年間使用されます。
雌ギツネは、5~6月の出産期に、平均で10~15匹の子を産みます。
※二種類のキツネの、一回の出産あたりの平均頭数。二種をかけ合わせた場合も含む。タヌキもほぼ同数。
低い生存率
春に生まれた子ギツネは3ヶ月ほどで乳離れしますが、中国の養殖業者によると、乳離れするまでの子ギツネの生存率はわずか50%です。
つまり、1回の出産で産まれた子のうち、業者の手に残るのは5~7匹ということになります。
6ヶ月が経過し、最初の冬毛への生え変わりが終わった頃、子ギツネは殺されます。業者は一部を繁殖用に残しますが、ほとんどのキツネは、その年の終わりには毛皮となって売られます。
近親交配
多くの養殖業者は、毛皮の質の低下などの、近親交配による問題を抱えています。ある業者によると、多くの養殖場では、問題の打開策として、フィンランドからまとまった数の“フレッシュな”繁殖用個体を輸入しているとのことです。
欧米での毛皮動物の飼育に規制が厳しくになるにつれ、毛皮の生産量の比重は中国に傾いていきます。欧米で培われた残酷な技術が、中国に次々と輸出されているのです。
中国では、繁殖だけを専門に行う施設が設立され、より工場化、産業化していっています。
フィンランドのアオギツネの精子の販売や、人工授精についてのアドバイスを行うベンチャー企業などが存在します。中国での巨大毛皮動物養殖場の技術支援を行なっていますし、北欧企業が中国でのビジネスチャンスを狙っているといいます。
繁殖用の動物のストレス
繁殖用に、母親と一部の父親がその冬に殺されずに残されます。しかし、繁殖用に生き延びることは過酷です。
福祉の低い状態で長期間生き続けなくてはならないことは、動物のストレス、苦悩をただ長引かせることになります。情動行動は激しく、多くなり、このために子殺しなども起きます。
実際に日本でかつてあった毛皮農場では、繁殖用に残されたミンクのほとんどが檻の中をぐるぐると回り続ける常同行動を起こしていました。
中国の新たな運用
通常繁殖は年に一回と思われてきました。しかし近年中国では、繁殖を年2回行っているという情報があります。不可能なことではありません。しかし繁殖用の動物の負担は大きくなり、またより多くの動物が苦しみ殺されることを意味しています。
1件の返信
[…] 2 3 4 […]